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第五回:チープロのイカすアート展国

こんにちは。中馬です。念押しですが読みはちゅーまんです。

まだまだ寒いですね。新居の水漏れを直すエネルギーが湧きません。

早く冬終われ。それか春になれ。


さて「カクメ・イカ・クメイ展」(以下、「イカ展」)は「グループ展」なんだそうです。

なんでカッコつきかというと、グループ展ってどういう意味か、僕が知らんからです。

ネットで調べてみると、なんも難しいことはなく、所謂「個展」と対になる言葉でした。つまりワンマンライブなのか、対バンライブなのかということですね。


イカ展は、『劇団』(と彼らは呼ばれたくなさそうですが)、『彫刻家』『映像作家』『ミュージシャン』『照明家』『映画助監督』と数名の追加戦士がギャラリー空間を分かち合い、テーマに沿ってそれぞれの作品を展示する会、なのです。それは分かったけど、なんで演劇を『グループ展』の形で上演するのか、劇場でのワンマン芝居しかやったことない僕はピンときません。


試しに「グループ展 演劇」で検索してみても、演劇のポスターの展覧会とかがヒットするだけで、イカ展みたいな企画の情報は見つかりませんでした。


「新しい」とか「前衛的」といったキャッチコピーはしばしば誇大広告になりがちですが、このイカ展はなかなか「珍しい」試みなのかもしれません。しかし「先行研究がろくにされていない分野というのは、ほとんどの場合面白くないか、やる意義が見出されなかった」とは、学部時代の恩師からよく言われた言葉です。「なんかカッコイイ」「イケてる気がする」だけで作った成果物の多くは、独りよがりに終わってしまうのです。


https://rental-gallery.jp/%E5%80%8B%E5%B1%95%E3%81%A8%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E5%B1%95/

こちらのページに「グループ展のメリット・デメリット」について分かりやすく書いてありましたので、参照しつつイカ展の意義について考えてみました。


グループ展のいいところ

・他の作家の刺激が受けられる

たしかに、本番当日にのパフォーマンス内容、空間にどんなオブジェクトが置かれるのか、どんな音が流れるのか、定期的に見通しを報告し合う中で、アイデアは確実に影響し合っています。当初は俳優が持ったり、組み立てたりする予定だったガガガ(阪上さん)氏の彫刻が、独立した作品になるなど、作品づくりの中でそれぞれの役割と距離感を大きく変えつつあります。チープロの領域下でも同様のことが起きていて、手前味噌になりますが、今回の演劇の展開づくりでは、僕のアイデアがかなり採用されています。時々ストーリー劇を演出することもあるので、その経験を活かしてダイナミズムをつけたり、コミカルなパフォーマンスを考えたりしています。

(稽古中の俳優によるメモ)


・人脈づくり(知らないお客さんが来てくれる、見てくれる)

グループ展をやると、色んな作家がそれぞれのお客さんを連れてきてくれるので、必然的に初めましての方が見てくれることになります。ほとんどの劇団で、出演者が友達を遮二無二呼びまくって成り立っている(いない)演劇業界では、こいつは死活問題です。また、チープロみたいに大雑把に「笑える」「泣ける」「ラブコメ」とか説明しづらい劇団では、こうしてアーティストとグループ展をやることで、「アート」の文脈に接近していくのはメリットがあるできるでしょう。観客にも、「アートなのか、じゃあ受け身で見るだけじゃ楽しめないかもな」というイメージを持ってもらえます。そもそも演劇はアートなので、これは皮肉です。


グループ展の良くないところ

・他の作家の作品の影響が避けられない

いいところと表裏一体ですね。

スペース内での音や光、室温などの環境面でも、一人占めすることはできませんし、演劇で言えば、幕を下げたり暗転したりといった手法は使えなくなります。また、見てもらう順番によっては互いの作品の見え方が想定から外れてしまいます。たとえば僕が小便小僧を演じるじゃないですか、そのあとで滝を描いた絵を見てしまったら……画家さんから苦情がきます。でも逆に言えばテーマをしっかり共有していれば、お互いの見方を深められますよね。


今までのブログで僕は時々、「チープロはこう見えるああ見える」「あれに似ている」とイメージを散らかしてきました。これはチーム・チープロの楽しみ方の一つだと思います。ただ、このままでは思い付きを言ったもん勝ちの「大喜利」的な見方に留まってしまう。拡散するイメージをグループ展という形で、軸となるテーマに収斂させることが、今回のイカ展の最大の狙いと言えるかもしれませんね。


ロシア・アヴァンギャルドという一連のムーブメントの中で、アーティスト同士は既存の手法や生活をぶち壊すという意志でつながり合いながら、相互に影響していました。そこには仲間意識だけではなく、「ロシアヴァ」内での反目や批判も同時に激しく存在しました。目的や表現手法、繋がり方も、攻撃性と熱を孕みつつ共存するあり方は、おそらくイカ展における理想とよく似ています。


チープロとアーティストと観客はお友達ではなく、同志になりたいということです。


最後に、私事ですが「カクメ以下略展」の翌週に、高円寺でストレートプレイの出演予定が決まりましたので、よろしければそちらにも興味を持っていただければ幸いです。鴻上尚史の傑作三人芝居「トランス」を演じます。

チープロとは真逆の、コテコテのエンタメとメッセージ性の芝居です。まさにチープロの演出が仮想敵に据えるような、エモーショナルとお約束全開の作品ですので、セットでご覧いただくと、皮肉が効いて一層の混乱を味わえることと思います。

(ただし、よくできた戯曲はしばしば「お約束」に自覚的です)

ポテチとチョコを交互に食べて止まらなくなるあの感じですね。

こちらもよろしくお願いします。


中馬でした。


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「20世紀プロジェクトvol.3: カクメ・イカ・クメイ展」

詳細→ https://www.chiipro.net/next

ご予約→ https://www.quartet-online.net/ticket/kakume_ika_kumei

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『トランス』

【会場】

アトリエファンファーレ高円寺

【日時】

3月15日(木)19:00- 16日(金)19:00- 18日(日)13:00-/17:00-

※開場は各回30分前

【チケット】

前売り券 2000円

当日券 2500円

ご予約はこちら!

http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=ca6587b3bf

【原作】鴻上尚史

【演出】石田優希子

【出演】神川美優、中馬智広(ざ・えんど/シンプルな羊)、土屋達義(シンプルな羊)

【あらすじ】

精神科医の紅谷、ライターの立原、そしてオカマとしてパブで働く後藤は高校時代の友人であるが、卒業後は全く顔をあわせていなかった。しかし紅谷の働く病院へ突然立原が訪ねてくる。

「僕も、たぶん、患者なんだ」

立原は『自分が自分でないような気がする』と言い、ついには自分を天皇と名乗る別人格を生み出してしまう。3人の関係は大きく動き、絡まり、回転を始める……

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